ふわり、ふわり、

青々と広がる空の中

それが必然であるかのようにふんわりと流れ行く雲たち

そんな当たり前の光景がなんとなく好きなんだ




「あー、やっぱり好きだなぁ」

ふわり、ふわり。
雨が降る気配まったく無し、といった感じで晴れ晴れとその姿を見せ付ける太陽と、
青の中にところどころ見える白いふわふわの雲。

「ん?何、俺の事?」

ニカッ、と無邪気な笑顔を見せてけろっとそんな台詞を吐いた人物に。
(・・・・まったく、勘違いも良いところよね。)
といった感じの視線を送りつけて。

「誰があなたのことだって言ったかしら。まったく、バカにも程があるわ」
「誰がバカだよ、誰が」
「・・・・カイ以外だれもいないと思うけど」

軽くため息をついて、もう一度空を見上げた。

「じゃ、何のことだったんだよ」
「空よ」
「空ぁ〜?」
「そう。カイも好きでしょ?空」
「好きか嫌いかで言ったら好きなんだろうけどさ。でも、なんでまた空が好きなんだよ」
「ある人に似てるからよ」

そう言って、腰掛けていたいすから立ち上がって、すたすたと歩き出した。
それを追って、カイも歩き出す。

「ある人って?」

問われているのにもかかわらず、歩き続ける。

「その人っていうのは、一年に一月しか来ないで私を孤独にさせるバカな人」
「え?」

カイは呆然とその場に立ちつくした。
私はかまわず歩き続ける。

「でもね、当たり前のように私の前に現れて、私を幸せにするの」

ふと、立ち止まって。次の瞬間、振り向いた。
一歩一歩、彼の方へと歩み寄った。

「そういうとこ、似てると思わない?」

ニコッ、といつもの比にならないくらい優しい笑顔を浮かべたら、
ほら、あなたも優しく微笑むでしょう?
そんな当たり前のことがなんとなく好きなんだ。




2006. 空に想う、君へ
寂しくなんかないよ、空はいつでも君を感じられるから。(071101 - 加筆修正)